自民党・政務調査会・知的財産戦略調査会(会長:保岡衆議院議員)は、一昨日(22日朝)の会合で、わが国の知財戦略に関する「10の提言」を 採択し、その中で「知的財産が有する価値を客観的に評価できる人材の育成及び評価手法の確立」という当協会の要望が明記されました。これを受け、今後政府 の方で具体的な施策が打ち出されるものと思われます。
今回の提言は安倍内閣の経済政策「3本の矢」の1つである成長戦略の中核の一部を占めるもので、当協会は関係団体 (経団連、弁護士会、JASRAC、日本知財学会等18団体)の1つとして参加してきました。同調査会は本年2月末にスタートし、衆参国会議員、各省庁代 表者の出席の下、わが国の特許制度、国際的な標準化、知財活用に係る税制、日本のコンテンツ産業・クールジャパンの強化などが繰り返し議論されてきまし た。当協会としては、「国際的にも通用する知財の適正な経済価値の算定・評価は、知財への投資、知財に係る訴訟、企業の情報開示等多方面において極めて重 要であるにも拘わらず、わが国は海外に比べ基準・制度・人材の面で社会インフラが殆ど存在しておらず、この充実を国家戦略上の課題として考えて欲しい」と の意見を述べてきました。当初は、知財権保護に関連した議論が中心となり、評価の重要性に対する参加者の認識は必ずしも高くなかったのですが、最終的に 10の提言の1つである「国際的・戦略的な知財人材の育成」の中の最初の課題(「企業が知的財産を活用した経営を推進し、知的財産の流通を促進するため、 知的財産が有する価値について客観的に評価できる人材を育成すると共に、価値評価手法の確立に向けた検討を行う。」)としてと記載されるに至りました。
当協会のパートナーであるASAは、知財等の無形財産の評価の分野で国際会計基準・評価基準にも準拠した評価理 論・手法に関する世界唯一の教育プログラムを擁し、欧州、中国、韓国、オーストラリア、南米等で既に普及を行っております。日本においてはこれまで関心が 余り高くなく、当協会として開催するに至っておりませんが、今回の提言を弾みとして、今後、政府当局及びその他諸団体のご理解・ご支援も仰ぎながら、関連 講座の一刻も早い実施を目指すと同時に、わが国の知財評価のインフラ構築に対する貢献を目指して参ります。