機械設備評価のネタのタネ

リース会社等への機械設備評価サービスの提供

米国の機械設備の評価人の大きな収入源にAd valorem (従価税)に関連した評価があります。これは日本の償却資産に対する固定資産税(償却資産税)の様なものですが、税務当局が提示した課税額に不満がある場合、納税者は機械設備評価人による評価書を以て対抗します。 法廷闘争となることも多く、評価人が法廷証言する事は日常茶飯事です。

これに対して日本の償却資産の固定資産税(現行税率1.4%)の場合、その法律上は「適正な時価」との規定がありますが、固定資産評価額(税務上の簿価)が通常使用され、その評価額について米国のように法廷等でチャレンジされるということは殆どありません。また、裁判所もこのような法廷闘争については、国の徴税制度を根底から揺るがす可能性があることから保守的です。

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先般、会員の営業支援を兼ねて大手地銀系のリース会社を訪ね、保有機械設備の評価に係るニーズを尋ねました。「基本的に固定資産税評価額で計上しており、特に評価のニーズは無い」との返答でした。本当に日本ではニーズが無いのでしょうか? 例えば、急速な技術革新が進むハイテク分野では法定耐用年数の終了を待たずして陳腐化する設備機械や、過酷な使用状況にある機器では法定年数より早くリタイヤ-させる必要があるような場合も想定されます。

そのような場合、早期に廃棄することにより損金の計上できますが、実際に廃棄するときまで待たなければならないという問題があります。ある税理士さんに聴いたところ、裁判等の表だった場面では防衛的になる税務当局(固定資産税の担当は市区町村の税務課、減価償却は国税で税務署)の担当も個別対応で例えば残存耐用年数の短縮化(=減価償却額の増額と固定資産税の減額)に応じるなど柔軟に対応してくれるケースもあり、専門的な評価書は有力な説得資料となります。

この点を前述のリース会社に話したところ、あり得る話とその有用性を認めてくれて、また情報があれば教えてくださいと言われました。技術革新の激しい先端大型医療機器、数が多いIT機器、使用の激しい建設機械など、この対象となる可能性があります。前述の税理士さんに依れば、償却資産の申告は税理士事務所が繁忙期の1月末で、申告書の作成も他税目に比して安易なので軽視されがちの様ですが、リース会社等に提案を持ちかけるのも一考かと思います。(事務局・若山)